函館不動産 侏儒の呟き

函館で約20年間不動産業界に身を置いており、お客様に対する本音と建前の矛盾に日々奮闘しています。20年間函館の不動産に携わる者として、函館の不動産状況やお客様に言えない本音の部分について独りで呟いております。

【不動産売買では正論が通用しない場合が多々あります】~人間が相手です~

 以前、土地の引渡をしたお客様(買主様)から、隣の方の事で相談があると連絡が有りました。

 

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 正直、やっぱり来たかと思いました。なぜなら、お客様は問題が起こる行動を物件購入時にしていたからです。

 

 お客様は古家付きの土地を購入希望ということで当社に連絡してきました。そして、現地でお会いし物件の状況を説明しました。

 

 その時に、古家は引渡までの間に売主様で解体する事を伝えました。また、隣の敷地とは約50cmの高低差があり、お客様の購入する物件が低くなっている事と、今は売主様所有のブロック塀にて土留をしている状態なので解体時にこのブロック塀の一部は残すというのが契約の条件だと伝えました。

 

 その条件をお客様(買主様)は了承し契約が終了したのですが、後日お客様から連絡が有り、ブロック塀をすべて撤去してほしいと言ってきました。

 

 その理由が「高低差は隣の方の敷地が約50cm高くなっているのだから隣の人がつけるのが普通だ。だから、ブロック塀は撤去して隣の方に新たに土留を設置してもらう」と隣の方言うという事でした。

 

 お客様が言っていることは正しい事です。まさに正論です。しかし、必ずしも正論が通用するとは限らないのが人間です。だから、契約時にブロック塀の一部を残す事を条件としたのです。

 

 実際、ブロック塀を撤去して隣の方が土留を設置してくれる保証はありません。正論で敷地内に土が入ったから、隣の方にどうにかしてもらうと言っても隣の方が何もしない場合も普通にあります。

 

 では、決着をつけるために裁判をおこすのか?しかし、裁判で勝訴して裁判所が土留の設置を命じても隣の方に費用がなければ泣き寝入りになる可能性もあります。

 

 しかも、土留の事で裁判を起こしたら近隣関係は最悪の状態と言わざる負えません。

 

 それが嫌なら、この物件を初めから購入しない事がベストです。しかし、お客様は購入する事を選択しました。

 

 結局ブロック塀は、買主様にて撤去する事になりました。

 

 内容としては、今解体している解体業者に買主がお願いして、解体ついでに無料で撤去してもらうというものでした。

 

 当然、その時に買主様には、この撤去は買主様が自己の責任でやる事と、そして売主様も当社もこの撤去につい一切責任は負わない事を重々説明しました。

 

 そして、撤去した後のリスクも再度説明しました。しかし、買主様は自分は正論をいっているのだから問題はないと聞く耳を持ちませんでした。

 

 その後、解体が終わり無事引渡を終えたのですが、それから1週間ぐらいで連絡が来ました。話を聞くと隣の方が初めは土留を設置すると言っていたのに、今はお金がないと言って土留をつけてくれないというものでした。

 

 しかし、この時に私にできる事は何もありません。最後は買主様が自費で土留を付ける事になりました。

 

 自分の主張が100%正しいからと言っても、それを盾に自分の考えを強制しようとしても、まかり通らない事は多々あります。気を付けたいものです。