【仮登記】~見逃してしまう表記~
土地の謄本(全部事項証明書)の中に仮登記という表記がある時は注意が必要かと思います。この仮登記というものは手続き上、登記を行う要件が整っていない場合に、将来の本登記の順位を確保する為に行われる登記の事を言います。
簡単に言うと、「今は所有権移転を行う為の要件が完全ではないが、そのうち要件が整うので先に仮登記と言うもので物件を押さえてしまおう」というものです。
つまり、所有権を移転するための順位保全になります。従って、極端な事を言うと誰かに所有権が移っても、本登記を行えば順位が1番になり自分のものにする事ができるという事です。
仮登記権者が、すぐに本登記を行えば特に問題はないのですが、仮登記権者がなぜか本登記をせずに、そのまま何十年も経過し、第三者が相続して処分しようとしたら仮登記が残っていたという場合が多いです。
しかも、不動産業者も相続などで所有権が移転している為、効力の無い表記だと勘違いしてしまう場合や、司法書士が表記自体を見逃してしまうケースもあります。
そして、仮登記権者(多くが法人・会社)がすでに存在して無く、現在の所有者も事情がまったくわから無いというケースが多いです。
仮登記を抹消するには、仮登記権者に抹消してもらわなければならないのですが、会社がすでに無い時は、すでに閉鎖している法人・会社の登記を、会社関係者にもう一度復活してもらって、その上で仮登記を抹消してもらわなければなりません。
しかも、抹消するには費用も手間も必要になる為、ほとんどの会社関係者は嫌がります。そこを協力してもらって抹消するのでとても大変です。
査定の段階で仮登記と言う表記を見つけた場合は、現在どのような状態なのか、司法書士に確認してもらってください。